「CMクリエイターは商品を売ることよりも、自分の作品を作ろうとして見当違いな企画を持ってくる」

デザイナーユニークなCMで話題のハズキルーペ。そのハズキルーペの会長がこうおっしゃったそうな。ちなみに私と同い年で驚きました。

「まずは、商品を知ってもらうことが第一。しかし、CMクリエイターは商品を売ることよりも、自分の作品を作ろうとして、見当違いな企画を持ってくることが多いんです。“ミラノの駅から始まって…”とか“お殿様にハズキルーペを献上して…”とか(笑い)。こちらは60秒のCMの宣伝費に100億円かけていますから、1秒2億ですよ。ミラノの風景なんか無駄に見せるくらいなら、自分でやるよ!って」(引用:Yahoo!ニュース

確かにその通りです。私はWeb系のクリエーターなのでWebの話になってしまいますが、依頼のあった企画あるいは提案した企画を実際に形にしたときに、成果物が完全に自己中になってしまうクリエーターがほとんどだと思います。しかも、それに気づいていないのではなく、完全に確信犯。 「次はこの新しいデザインを取り入れよう」「このJSが面白いから使ってみよう」という、自分勝手なクリエーターの考えでサイトを構築してしまいます。まさにタイトルの「自分の作品を作ろうとして」ですよね。

話は少し逸れますが、クリエーターの悩みの一つに、ユーザーのためのデザインかクライアントのためのデザインかというのがあります。
たとえば、ユーザー優先で、ユーザーへの情報の伝達・ユーザーの使いやすさを突き詰めていくと必要以上にシンプルになってしまい、クライアントから「何これ、素人? 俺でもできるよ!」ってなってしまったりすることもありました。デザイン力の無さもあるのですが(笑。
ハズキルーペの場合、どうやら、クライアントである会長が気に入ることがゴールのようですから、まずは会長が気にいるように作ればよかったのかもしれません。

わかっていることですが、重要なのは、クライアントがユーザーに何を伝えたいかを絞り込むこと。ハズキルーペでは、会長の要望は「商品を知ってもらうことが第一」でした。そのための表現方法がクライアントである会長に受け入れられなかったというか、クリエーターの制作姿勢として自己中すぎたのかもしれませんね。

とはいえ、会長が気に入ることとは、「ユーザー(この場合はTV視聴者)への商品の訴求に効果があること」ですから、結局はユーザーのためのデザインになりますし、会長の自己中では?という反論もありそうですが、結果的に大きな話題になったわけですから、効果は絶大だったわけです。

いずれにしても、クリエーターはアーティストではありませんから、自分のためのデザインを押し通すべきではないということはまちがいありません。